顎変形症とは
顎変形症を正しく理解することは、良好な治療結果が得られる期待が高まります。

顎変形症とは?
顎変形症とは、上下の顎の大きさや位置のバランスの崩れにより、咬み合わせや顔貌に影響が生じる病気です。
出っ歯、受け口、顔面非対称といった見た目で判断されるだけでなく、会話(発音)、食事、勉強・スポーツへの集中力、睡眠(いびき、無呼吸症候群)など、自覚の有無に関わらず日常生活へ影響を及ぼしている場合もあります。
顎変形症は自然に治ることは殆どなく、放置すると徐々に悪化するケースが多いため骨格の成長が止まった後でも、顎の変形が進行し、身体機能・健康面、外見(見た目)、精神・生活面などに悪影響を及ぼすことがあります。
少しでも自覚症状や気になることがある方は、以下のセルフチェックを行い、顎変形症の疑いがある方は、顎変形症の放置リスクを確認いただくことをお勧めします。
次の項目をチェックしてみましょう。
顎変形症は、見た目だけの問題ではなく、咀嚼や発音などの日常生活における口腔機能に影響することがあります。
また、放置すると以下のような悪影響が生じる恐れもあるため、自覚症状がある場合は、早めの受診、検査をお勧めします。
1. 身体機能・健康面への影響
- ・咀嚼・消化機能の低下:しっかり噛めないため、胃腸に負担がかかり、消化不良や栄養吸収の低下につながる。
- ・発音の障害:開咬(前歯が閉じない)などにより、特にサ行やタ行の発音が不明瞭になる。
- ・顎関節症の悪化:顎の骨や関節が変形・負担し続け、痛みを伴う開口障害や、顎の音が鳴る、口が開かなくなるといった症状につながる。
- ・呼吸・睡眠障害:下顎が小さい場合、気道が狭くなり、いびきや睡眠時無呼吸症候群を引き起こしやすくなる。
- ・感染症リスク:口が閉じにくいため、口内が乾燥し、口内炎、虫歯、歯周病になりやすい。
2. 外見・見た目への影響
- ・顔の歪み・非対称:噛み合わせの悪さから口周りの筋肉のバランスが崩れ、顔の歪みが進行する。
- ・シワ・たるみの増加:咀嚼の不均衡により表情筋が過緊張し、口元のシワや顔のたるみができやすくなる。
3. 精神・生活面への影響
- ・コンプレックス・ストレス:受け口、出っ歯、顔の歪みが目立つことで心理的な負担や精神的なストレスを感じやすくなる。
- ・日常生活の制限:慢性的な痛みや食事のしにくさから、外出や食事を楽しむ機会が減る。
といったリスクがあります。
顎変形症が自然に治ることは殆どなく、放置すると徐々に悪化するケースが多いため骨格の成長が止まった後でも、顎の変形が進行することがあります。
まずは、「顎変形症」を正しく理解いただき、当センターへご相談いただくことをお勧めします。
症状/状態/病名(診断名)
顎変形症を表すものとして症状、状態、病名(診断名)がありますが、それぞれ以下のように定義されています。
症状とは、外見(見た目)で確認可能な一般的な外見の名称で、主な症状は以下の4種があります。
出っ歯・ロゴボ

上の前歯が前に大きく突き出ている、あるいは下あごが未発達で後ろに下がっている状態。
受け口

下の前歯が前に成長している、または上あごの成長が足りず下の前歯よりも前に出ている状態。
開咬

奥歯をしっかり噛み合わせにもかかわらず、前歯との間に隙間が空いてしまい、上下が接触しない状態。
顔面非対称

顎の骨が左右どちらかに偏って成長してしまい、顔のバランスが左右不均等になっている状態。
状態とは、精密検査で確認可能な骨格的異常及び歯槽性異常(単一歯の傾きや異常の原因)の名称です。
対して、歯槽性異常は、歯の傾きや異常等が原因であるため、その治療は一般的な通列矯正となり自費診療となります。
顎変形症を伴った歯槽性異常は顎変形症治療過程で総合的に治療しますので、健康保険が適用されます。
顎変形症の症状は、同じ症状であっても状態が異なる場合が多く、また単一の状態であるケースより複数の状態が組み合わさった複合的なケースであることが殆どです。
前後方向のズレ(出っ歯・ロゴボ、受け口)
| 上顎前突 | 上の前歯や上顎全体が下顎よりも前方に突き出ている状態。(出っ歯、ロゴボ) |
| 下顎前突 | 下顎が上顎よりも前方へ突出している状態。(受け口、しゃくれ) |
| 下顎後退 | 上顎に対して下顎が後方に位置している状態。 |
垂直方向のズレ(深さ・隙間)
| 開咬 | 奥歯で噛み合わせた時に、上下の前歯の間に隙間ができて噛み合わない状態。 |
水平・横方向のズレ(左右・幅)
| 交叉咬合 | 奥歯や前歯の噛み合わせが通常とは逆になり、下の歯が上の歯の外側(頬側)に位置する状態。 |
| 鋏状咬合 | 上の奥歯が外側、下の奥歯が内側に傾き、ハサミのようにすれ違って噛み合わない状態。 |
| 正中偏位 | 上の前歯の中心と下の前歯の中心が左右にズレている状態。 |
| 側方偏位 | 上下の歯の中心(正中線)が、顔の真ん中に対して左右どちらかにズレている状態。 |
前後方向のズレ(出っ歯・ロゴボ、受け口)
| 上顎前突 | 上の前歯や上顎全体が下顎よりも前方に突き出ている状態。(出っ歯、ロゴボ) |
| 下顎前突 | 下顎が上顎よりも前方へ突出している状態。(受け口、しゃくれ) |
| 上下顎前突 | 上下の前歯が前に出ていて唇が閉じられない状態。(ロゴボ) |
| 切端咬合 | 上下の前歯の先端(切端)同士がぶつかり合う状態。 |
垂直方向のズレ(深さ・隙間)
| 開咬 | 奥歯で噛み合わせた時に、上下の前歯の間に隙間ができて噛み合わない状態。 |
| 過蓋咬合 | 奥歯で噛んだ上に上の前歯が下の前歯を深く覆い隠し、下の前歯がほとんど見えない。 |
| 低位咬合 | 上の歯が正常な噛み合わせ位置より低い位置で接触、または噛み合っていない状態。 |
水平・横方向のズレ(左右・幅)
| 交叉咬合 | 奥歯や前歯の噛み合わせが通常とは逆になり、下の歯が上の歯の外側(頬側)に位置する状態。 |
| 鋏状咬合 | 上の奥歯が外側、下の奥歯が内側に傾き、ハサミのようにすれ違って噛み合わない状態。 |
| 正中離開 | 上の前歯2本(左右の中切歯)の間に隙間がある「すきっ歯」の状態。 |
| 正中偏位 | 上の前歯の中心と下の前歯の中心が左右にズレている状態。 |
| 側方偏位 | 上下の歯の中心(正中線)が、顔の真ん中に対して左右どちらかにズレている状態。 |
歯並び・スペースの問題
| 叢生 | 顎のサイズに対して歯が大きく、歯が並ぶスペースが不足することで、歯が重なり合っている状態。 |
| 空隙歯列 | 歯と歯の間にすき間がある歯並びの状態。 |
| 転位 | 上顎や下顎の骨が本来あるべき正しい位置からずれている状態。 |
| 捻転 | 歯が本来あるべき方向から自身の軸を中心に回転し、ねじれて生えている状態。 |
病名とは、精密検査後、医師が診断する厚生労働省で定められている病気の名称です。
「病名がある」=「病気である」ことから、これらの治療には健康保険が適用されます。
| 病名(診断名) | 概要 |
|---|---|
| 上顎前突症 | 上顎骨が下顎骨に対して前方に突出している骨格性異常。 |
| 下顎前突症 | 下顎が上顎より前方に突出している骨格性異常。 |
| 上顎後退症 | 上顎骨の成長不足により、下顎に対して上あごが後方に陥凹している骨格性異常。 |
| 下顎後退症 | 上顎に対して下顎が後方に位置し、顎が小さいまたは無いように見える骨格異常。 |
| 開咬症 | 奥歯は噛み合っているのに、上下の前歯が閉じずに隙間ができる骨格性異常。 |
| 側方発育異常(上下顎) | 上顎または下顎の骨の左右差により大きくズレている骨格性異常。※顔面非対称 |
顎変形症の原因
基本的な原因は骨格的異常(骨格の問題)によるものです。
症状により、原因となる部位が異なりますが、
1.前後方向の骨格的異常
2.垂直方向の骨格的異常
3.水平・横方向の骨格的異常
とに分けられます。
骨格的異常の主な症状、状態、病名に関しては以下の表を参照ください。
治療の必要性と目的
治療の必要性
顎変形症は骨格的異常(骨格の問題)である病気であり、日常生活面、身体機能、健康面、精神面へ様々な影響が生じます。
また、放置することにより、症状、状態が悪化するケースも多いため、早期に正しい治療を行うことをお勧めします。
治療目的
- 機能の改善(咀嚼・発音・嚥下)
正しく噛めない、発音しにくい、物が噛み切れないといった日常生活の支障を改善。
- 顎関節への負担軽減
噛み合わせのズレによる顎関節症の痛みや音の軽減・解消。
- 呼吸・睡眠の改善
下顎のズレによるいびきや睡眠時無呼吸症候群の改善。
- 顔貌のコンプレックス解消
顎が出ている、左右非対称、面長などの骨格的な歪みを整え、精神的負担を軽減。
外科的手術方式、治療期間、治療費等