顎変形症とは

顎変形症を正しく理解することは、良好な治療結果が得られる期待が高まります。

顎変形症とは

顎変形症とは?

顎変形症とは、上下の顎の大きさや位置のバランスの崩れにより、咬み合わせや顔貌に影響が生じる病気です。
出っ歯、受け口、顔面非対称といった見た目で判断されるだけでなく、会話(発音)、食事、勉強・スポーツへの集中力、睡眠(いびき、無呼吸症候群)など、自覚の有無に関わらず日常生活へ影響を及ぼしている場合もあります。

顎変形症は自然に治ることは殆どなく、放置すると徐々に悪化するケースが多いため骨格の成長が止まった後でも、顎の変形が進行し、身体機能・健康面、外見(見た目)、精神・生活面などに悪影響を及ぼすことがあります。

少しでも自覚症状や気になることがある方は、以下のセルフチェックを行い、顎変形症の疑いがある方は、顎変形症の放置リスクを確認いただくことをお勧めします。

症状/状態/病名(診断名)

顎変形症を表すものとして症状、状態、病名(診断名)がありますが、それぞれ以下のように定義されています。

症 状

症状とは、外見(見た目)で確認可能な一般的な外見の名称で、主な症状は以下の4種があります。

出っ歯・ロゴボ

出っ歯・ロゴボのイラスト

上の前歯が前に大きく突き出ている、あるいは下あごが未発達で後ろに下がっている状態。

受け口

受け口のイラスト

下の前歯が前に成長している、または上あごの成長が足りず下の前歯よりも前に出ている状態。

開咬

開咬のイラスト

奥歯をしっかり噛み合わせにもかかわらず、前歯との間に隙間が空いてしまい、上下が接触しない状態。

顔面非対称

顔面非対称のイラスト

顎の骨が左右どちらかに偏って成長してしまい、顔のバランスが左右不均等になっている状態。

状 態

状態とは、精密検査で確認可能な骨格的異常及び歯槽性異常(単一歯の傾きや異常の原因)の名称です。
対して、歯槽性異常は、歯の傾きや異常等が原因であるため、その治療は一般的な通列矯正となり自費診療となります。
顎変形症を伴った歯槽性異常は顎変形症治療過程で総合的に治療しますので、健康保険が適用されます。
顎変形症の症状は、同じ症状であっても状態が異なる場合が多く、また単一の状態であるケースより複数の状態が組み合わさった複合的なケースであることが殆どです。

骨格的異常

前後方向のズレ(出っ歯・ロゴボ、受け口)

上顎前突じょうがくぜんとつ上の前歯や上顎全体が下顎よりも前方に突き出ている状態。(出っ歯、ロゴボ)
下顎前突かがくぜんとつ下顎が上顎よりも前方へ突出している状態。(受け口、しゃくれ)
下顎後退かがくこうたい上顎に対して下顎が後方に位置している状態。

垂直方向のズレ(深さ・隙間)

開咬かいこう奥歯で噛み合わせた時に、上下の前歯の間に隙間ができて噛み合わない状態。

水平・横方向のズレ(左右・幅)

交叉咬合こうさこうごう奥歯や前歯の噛み合わせが通常とは逆になり、下の歯が上の歯の外側(頬側)に位置する状態。
鋏状咬合はさみじょうこうごう上の奥歯が外側、下の奥歯が内側に傾き、ハサミのようにすれ違って噛み合わない状態。
正中偏位せいちゅうへんい上の前歯の中心と下の前歯の中心が左右にズレている状態。
側方偏位そくほうへんい上下の歯の中心(正中線)が、顔の真ん中に対して左右どちらかにズレている状態。
歯槽性異常

前後方向のズレ(出っ歯・ロゴボ、受け口)

上顎前突じょうがくぜんとつ上の前歯や上顎全体が下顎よりも前方に突き出ている状態。(出っ歯、ロゴボ)
下顎前突かがくぜんとつ下顎が上顎よりも前方へ突出している状態。(受け口、しゃくれ)
上下顎前突じょうかがくぜんとつ上下の前歯が前に出ていて唇が閉じられない状態。(ロゴボ)
切端咬合せったんこうごう上下の前歯の先端(切端)同士がぶつかり合う状態。

垂直方向のズレ(深さ・隙間)

開咬かいこう奥歯で噛み合わせた時に、上下の前歯の間に隙間ができて噛み合わない状態。
過蓋咬合かがいこうごうしょう奥歯で噛んだ上に上の前歯が下の前歯を深く覆い隠し、下の前歯がほとんど見えない。
低位咬合ていいこうごう上の歯が正常な噛み合わせ位置より低い位置で接触、または噛み合っていない状態。

水平・横方向のズレ(左右・幅)

交叉咬合こうさこうごう奥歯や前歯の噛み合わせが通常とは逆になり、下の歯が上の歯の外側(頬側)に位置する状態。
鋏状咬合はさみじょうこうごう上の奥歯が外側、下の奥歯が内側に傾き、ハサミのようにすれ違って噛み合わない状態。
正中離開せいちゅうりかい上の前歯2本(左右の中切歯)の間に隙間がある「すきっ歯」の状態。
正中偏位せいちゅうへんい上の前歯の中心と下の前歯の中心が左右にズレている状態。
側方偏位そくほうへんい上下の歯の中心(正中線)が、顔の真ん中に対して左右どちらかにズレている状態。

歯並び・スペースの問題

叢生そうせい顎のサイズに対して歯が大きく、歯が並ぶスペースが不足することで、歯が重なり合っている状態。
空隙歯列くうげきしれつ歯と歯の間にすき間がある歯並びの状態。
転位てんい上顎や下顎の骨が本来あるべき正しい位置からずれている状態。
捻転ねんてん歯が本来あるべき方向から自身の軸を中心に回転し、ねじれて生えている状態。
病名(診断名)

病名とは、精密検査後、医師が診断する厚生労働省で定められている病気の名称です。
「病名がある」=「病気である」ことから、これらの治療には健康保険が適用されます。

病名(診断名)概要
上顎前突症じょうがくぜんとつしょう上顎骨が下顎骨に対して前方に突出している骨格性異常。
下顎前突症かがくぜんとつしょう下顎が上顎より前方に突出している骨格性異常。
上顎後退症じょうがくこうたいしょう上顎骨の成長不足により、下顎に対して上あごが後方に陥凹している骨格性異常。
下顎後退症かがくこうたいしょう上顎に対して下顎が後方に位置し、顎が小さいまたは無いように見える骨格異常。
開咬症かいこうしょう奥歯は噛み合っているのに、上下の前歯が閉じずに隙間ができる骨格性異常。
側方発育異常そくほうはついくいじょう(上下顎)上顎または下顎の骨の左右差により大きくズレている骨格性異常。※顔面非対称

顎変形症の原因

基本的な原因は骨格的異常(骨格の問題)によるものです。
症状により、原因となる部位が異なりますが、

1.前後方向の骨格的異常
2.垂直方向の骨格的異常
3.水平・横方向の骨格的異常

とに分けられます。
骨格的異常の主な症状、状態、病名に関しては以下の表を参照ください。

1 前後方向の骨格的異常
症 状状 態病名(診断名)

出っ歯・ロゴボ

出っ歯・ロゴボのイラスト
上顎前突じょうがくぜんとつ上顎前突症じょうがくぜんとつしょう
下顎後退かがくこうたい下顎後退症かがくこうたいしょう
症 状状 態病名(診断名)

受け口

受け口のイラスト
下顎前突かがくぜんとつ反対咬合はんたいこうごう上顎後退症じょうがくこうたいしょう
下顎前突症かがくぜんとつしょう
2 垂直方向の骨格的異常
症 状状 態病名(診断名)

開咬

開咬のイラスト
開咬かいこう・オープンバイト開咬症かいこうしょう
3 水平・横方向の骨格的異常
症 状状 態病名(診断名)

顔面非対称

顔面非対称のイラスト
交叉咬合こうさこうごう
クロスバイト
側方発育異常そくほうはついくいじょう
鋏状咬合はさみじょうこうごう
正中偏位せいちゅうへんい
側方偏位そくほうへんい

治療の必要性と目的

治療の必要性

顎変形症は骨格的異常(骨格の問題)である病気であり、日常生活面、身体機能、健康面、精神面へ様々な影響が生じます。
また、放置することにより、症状、状態が悪化するケースも多いため、早期に正しい治療を行うことをお勧めします。

治療目的

  1. 機能の改善(咀嚼・発音・嚥下)

    正しく噛めない、発音しにくい、物が噛み切れないといった日常生活の支障を改善。

  2. 顎関節への負担軽減

    噛み合わせのズレによる顎関節症の痛みや音の軽減・解消。

  3. 呼吸・睡眠の改善

    下顎のズレによるいびきや睡眠時無呼吸症候群の改善。

  4. 顔貌のコンプレックス解消

    顎が出ている、左右非対称、面長などの骨格的な歪みを整え、精神的負担を軽減。

顎変形症治療の詳細はこちら

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